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2023.11.1

BR療法

監修大垣市民病院 薬剤部 薬剤部長 宇佐美 英績 先生
適応 再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫
未治療のマントル細胞リンパ腫
投与の詳細 再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫:1コース21日間(最大6コース)
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫:1コース28日間
未治療のマントル細胞リンパ腫:1コース28日間

(再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)

(低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫/未治療のマントル細胞リンパ腫)

  • ※初回投与:最初の30分は50mg/時で開始し、忍容性が良好であれば、その後30分毎に50mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる。
  •  2回目以降:①初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合は、100mg/時で開始し、その後30分毎に100mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる。
    ②臨床的に重篤な心疾患がなく、初回投与時に発現した副作用が軽微であり、かつ投与前の末梢血リンパ球数が5,000/μL未満である場合、90分間で投与(最初の30分で投与量の20%を投与し、その後60分で投与量の80%を投与)することができる。

本レジメンについて

  • ●再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)、強力な化学療法の適応とならない初発進行期マントル細胞リンパ腫(MCL)に対して選択肢となる治療法の1つである。
  • ●再発・再燃 DLBCL患者 を対象にBR療法を施行した国内第Ⅲ相試験1)において、主要評価項目である奏効率は76.3%、副次評価項目である完全寛解率は47.4%、全生存期間中央値は 29.2ヵ月と報告されている。
  • ●初発Ⅲ-Ⅳ期低悪性度B-NHL患者またはMCL患者を対象にBR療法とR-CHOP療法(いずれも最大6コース)を比較したSTiL NHL1-2003試験2)において、主要評価項目である無増悪生存期間中央値はBR療法群69.5カ月、R-CHOP療法群31.2カ月と有意差が報告されている(ハザード比 0.58、95%信頼区間0.44-0.74、p<0.0001、Cox比例ハザードモデル、long-rank検定)。
1) Murayama K, et al.: Ann Hematol. 2022; 101(5): 979-89.
2) Rummel MJ, et al.: Lancet. 2013; 381(9873): 1203-10.

副作用の特徴

  • ●中等度催吐性リスクに分類されるため、適切な制吐療法を実施する。
  • ●リツキシマブのinfusion reaction予防のため、投与開始30分前に抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等の前投与を行う。
  • ●骨髄抑制(好中球減少、リンパ球減少)の発現頻度が高く、カンジダ、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス、ヘルペスなど日和見感染のリスクが高くなることに注意する。
  • ●発疹がみられ、痒みを伴うことがある。QOL低下の要因となるため、我慢させずに適切な対応を行う。
  • ●B型肝炎ウイルス再活性化の予防のため、治療開始前にB型肝炎ウイルス感染のスクリーニングおよび適切な予防措置を行う。
  • ●腫瘍崩壊症候群の予防のため、治療開始前にリスク評価と適切な予防措置を行う。
【副作用の出やすい時期と相対的頻度のイメージ図】

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