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2023.09.12

カルボプラチン+ペメトレキセド療法

監修北里大学病院 薬剤部 係長 稲野 寛 先生
適応 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)
投与の詳細 1コース21日間(6コース以内実施)
※4コース終了後、増悪を認めなければペメトレキセド維持療法への移行を考慮する

本レジメンについて

  • ●ドライバー遺伝子変異/転座陰性、PS 2に対する一次治療において推奨されているプラチナ製剤+第三世代以降の細胞傷害性抗癌薬併用療法の1つである。
  • ●適応外になるが、悪性胸膜中皮腫に対してシスプラチン+ペメトレキセドと同等の効果を有しており、治療選択肢の一つとしてガイドラインに紹介されている。
  • ●非扁平上皮癌にのみ有効性が認められている。
  • ●ⅢB期、Ⅳ期の非扁平上皮非小細胞肺癌を対象にカルボプラチン+ドセタキセル療法とカルボプラチン+ペメトレキセド療法を比較した海外第Ⅲ相試験1)において、主要評価項目であるグレード3以上の有害事象を伴わない生存期間中央値はカルボプラチン+ドセタキセル療法群0.7ヵ月に対してカルボプラチン+ペメトレキセド療法群3.2ヵ月と有意な延長(p<0.001、log-rank検定)が報告されている。
  • ●75歳以上のⅢ期、Ⅳ期の非扁平上皮非小細胞肺癌を対象にドセタキセル単剤療法とカルボプラチン+ペメトレキセド療法→ペメトレキセド維持療法を比較した国内第Ⅲ相試験2)において、主要評価項目である全生存期間中央値はドセタキセル単剤療法群15.5ヵ月に対してカルボプラチン+ペメトレキセド療法群18.7ヵ月と非劣性が報告されている(ハザード比0.850、95%信頼区間 0.684-1.056、p=0.003(非劣性)、Cox比例ハザードモデル)。なお、副次評価項目の無増悪生存期間中央値は、それぞれ4.3ヵ月、6.4ヵ月であり有意差が認められている(ハザード比0.739、95%信頼区間0.609-0.896、p<0.001)。
1) Rodrigues-Pereira J, et al.: J Thorac Oncol. 2011; 6(11): 1907-14.
2) Okamoto I, et al.: JAMA Oncol. 2020; 6(5): e196828.

副作用の特徴

  • ●高用量のカルボプラチンを投与するため、高度催吐性リスクに準じた制吐療法を実施する。
  • ●ペメトレキセドによる副作用を軽減するために、下記のように葉酸及びビタミンB12を投与する。
    ・ 葉酸:ペメトレキセド初回投与の7日以上前から1日1回0.5mgを連日経口投与する。ペメトレキセド投与中止の際は、ペメトレキセド最終投与日から22日目まで可能な限り経口投与する。
    ・ ビタミンB12:ペメトレキセド初回投与の少なくとも7日前に1回1mgを筋肉内投与する。その後、ペメトレキセド投与期間中及び投与中止後22日目まで9週(3コース)毎に筋肉内投与する。
  • ●カルボプラチンは骨髄抑制の中でも血小板が落ちやすい。特に白血球や好中球と違い、治療が輸血でしか対応できないため注意が必要である。また投与を繰り返すことでアレルギー、ショックのリスクが高まる。特に8コース以上の投与では、投与時の観察が重要である。(カルボプラチン+ペメトレキセドは通常4コース以内に終了)
【副作用の出やすい時期と相対的頻度のイメージ図】

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