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2022.11.22

カルボプラチン+ペメトレキセド+ゲフィチニブ療法

監修宮城県立がんセンター 薬剤部 土屋 雅美 先生
適応 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)
投与の詳細 1コース21~28日間(4~6コース実施)
※4~6コース終了後、増悪を認めなければペメトレキセド+ゲフィチニブ併用維持療法への移行を考慮する

本レジメンについて

  • ●EGFR遺伝子変異陽性(エクソン19欠失またはL858R変異陽性)のPS 0-1に対する一次治療において提案されている治療法である。
  • ●非扁平上皮癌にのみ有効性が認められている。
  • ●EGFR遺伝子変異陽性のⅢB期、Ⅳ期、再発の非扁平上皮非小細胞肺癌を対象にゲフィチニブ単剤療法とカルボプラチン+ペメトレキセド+ゲフィチニブ療法→ペメトレキセド+ゲフィチニブ併用維持療法を比較したNEJ009試験1)において、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はゲフィチニブ単剤療法群11.9カ月、カルボプラチン+ペメトレキセド+ゲフィチニブ療法群20.9カ月(ハザード比0.49、95%信頼区間0.39-0.62、p<0.001、Cox比例ハザード回帰分析、log-rank検定)と有意な延長が認められたが、PFS 2(単剤療法群は無作為化から死亡または2次治療後の増悪までの期間から初回増悪から2次治療開始までの期間を差し引いた期間、併用療法群は無作為化から死亡または増悪までの期間)はそれぞれ18.0カ月、20.9カ月(ハザード比0.82、95%信頼区間0.65-1.03、p=0.092、Cox比例ハザード回帰分析、log-rank検定)と有意差は認められなかった。全生存期間中央値は38.8カ月、50.9カ月(ハザード比0.722、95%信頼区間 0.55-0.95、p=0.021、Cox比例ハザード回帰分析、log-rank検定)と有意な延長が認められている。
1) Hosomi Y, et al.:J Clin Oncol. 2020;38(2):115-123.

副作用の特徴

  • ●高用量のカルボプラチン(AUC≧4)は高度催吐性リスクに準じた制吐療法を実施する。
  • ●ペメトレキセドによる副作用を軽減するために、下記のように葉酸及びビタミンB12を投与する。
    ・ 葉酸:ペメトレキセド初回投与の7日以上前から1日1回0.5mgを連日経口投与する。ペメトレキセド投与中止の際は、ペメトレキセド最終投与日から22日目まで可能な限り投与する。
    ・ ビタミンB12:ペメトレキセド初回投与の少なくとも7日前に1回1mgを筋肉内投与する。その後、ペメトレキセド投与期間中及び投与中止後22日目まで9週(3コース)毎に投与する。
  • ●ゲフィチニブは、肝機能障害の発現頻度が高いので、肝機能検査値を確認する。また、間質性肺炎の発現には注意が必要である。投与開始後早期に症状が発現し、急速に進行する症例がみられていることから、自覚症状の聴取や定期的な画像検査の実施などにより密なモニタリングを行う。
【副作用の出やすい時期と相対的頻度のイメージ図】