2022.11.22
シスプラチン+ペメトレキセド+アテゾリズマブ療法
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 副薬剤長 石川 寛 先生
- ○非扁平上皮非小細胞肺癌の一次治療に使用する1)。
- ○PS不良や肺炎合併などの場合は、免疫チェックポイント阻害薬を抜く場合がある。
- ○シスプラチンによる末梢神経障害は、既往に糖尿病や多量飲酒があると増悪しやすいので注意する2)。
- ○シスプラチン投与時に腎機能障害予防のため、ハイドレーションとMgの投与を行う。
- ○ペメトレキセドによる副作用を軽減するための葉酸及びビタミンB12の投与を忘れない。
- ○ペメトレキセドによる皮疹予防のためにステロイドを投与する場合がある3)。
- ○免疫関連の有害事象はいつでも起こりうるため、常に念頭において薬物治療を行う。
- ○定期的に血液検査や副作用モニタリングを行う。
- ○シスプラチンは高度催吐性リスクに分類する薬剤のため、悪心・嘔吐予防内服の重要性を患者に説明する。
- ○シスプラチンの末梢神経障害と聴力障害は累積投与量になると発現頻度が高くなるため、累積投与量を確認する。
- ○シスプラチンによる聴力障害は不可逆的となる場合があるため、早めに確認しておく必要がある。
- ○シスプラチン投与時に腎機能障害予防のため、十分な補液の投与と飲水を励行する。
- ○シスプラチン投与時に腎機能障害がある場合、NSAIDsは使用しない。
- ○ペメトレキセドによる副作用を軽減するための葉酸及びビタミンB12が確実に投与されているかを確認し、その重要性を患者に説明する。
- ○免疫関連の有害事象はいつでも起こりうるため、その初期症状を患者に伝え、早期に対応できるようにする。
- ○定期的に血液検査や副作用モニタリングを行う。
- ○シスプラチン投与時に腎機能障害予防のため、体重と尿量を確認し、排尿が100ml/hr未満の場合、基準に従い利尿剤を投与する。
- ○シスプラチン投与時に調製後6時間以上の場合は遮光する。
- ○シスプラチン投与時に腎機能障害予防のため、飲水を励行する。
- ○アテゾリズマブ投与時にinfusion reactionを見逃さないよう定期的に観察を行う。
- ○末梢神経障害は、累積投与量が200~300mg/m2以上になると発生頻度が高くなる。
- ○神経障害の1つとして、聴力障害がある。累積300mg/m2以上から注意を要する。シスプラチンの聴力障害は、長期に障害が残り、不可逆的と考えられる。高音域の障害が特徴的である。
1) IMpower132試験: Nishio M, et al.: J Thorac Oncol. 2021; 16(4): 653-664.
2) Argyriou AA, et al.: Cancer Manag Res. 2014; 6: 135-147.
3) Cripps C, et al.: Ann oncol. 1999; 10(10): 1175-1179.
2) Argyriou AA, et al.: Cancer Manag Res. 2014; 6: 135-147.
3) Cripps C, et al.: Ann oncol. 1999; 10(10): 1175-1179.
進行・再発の非扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象としたIMpower132試験(n=291)1)におけるプラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)+ペメトレキセド+アテゾリズマブ療法の注目すべき有害事象として、発疹25.8%、甲状腺機能低下症8.2%、間質性肺炎6.2%、肝炎4.5%、インフュージョンリアクション、甲状腺機能亢進症各2.4%、髄膜脳炎、膵炎、重症皮膚障害、腎炎、大腸炎各1.4%、糖尿病、副腎不全、血管炎各1.0%、心筋炎、横紋筋融解症、全身性免疫活性化、下垂体炎各0.3%が報告されている。
1) Nishio M, et al.: J Thorac Oncol. 2021; 16(4): 653-664.
副作用名 | 主な症状 | 薬剤による対策 | 指導のポイント |
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infusion reaction |
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発現時期の目安 |
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悪心・嘔吐 |
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発現時期の目安 |
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吃逆 |
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発現時期の目安 |
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好中球減少 |
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発現時期の目安 |
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大腸炎・下痢 |
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発現時期の目安 |
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口内炎 |
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発現時期の目安 |
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皮膚障害 |
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発現時期の目安 |
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脱毛 |
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発現時期の目安 |
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聴力障害シスプラチンの聴力障害は累積300mg/m2以上 |
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間質性肺炎 |
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発現時期の目安 |
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ギラン・ バレー症候群等 |
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発現時期の目安 |
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肝機能障害 |
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発現時期の目安 |
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腎機能障害 |
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発現時期の目安 |
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膵炎 |
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発現時期の目安 |
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甲状腺機能 亢進症 |
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発現時期の目安 |
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甲状腺機能 低下症 |
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発現時期の目安 |
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下垂体機能障害 |
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発現時期の目安 |
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副腎機能障害 |
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発現時期の目安 |
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1型糖尿病 |
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発現時期の目安 |
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脳炎 髄膜炎 |
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発現時期の目安 |
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筋炎 |
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発現時期の目安 |
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重症筋無力症 |
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発現時期の目安 |
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心筋炎 |
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発現時期の目安 |
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血球貪食症候群 |
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発現時期の目安 |
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末梢神経障害累積投与量が200~300mg/m2以上 |
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※本サイトに掲載されている薬剤の詳細は各製品の電子添文をご参照ください。