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2023.01.24

シスプラチン+ペメトレキセド+ペムブロリズマブ療法

監修湘南医療大学薬学部 がん専門薬剤師 佐藤 淳也 先生
適応 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)
投与の詳細 1コース21日間(4コース実施)
※4コース終了後、増悪を認めなければペメトレキセド+ペムブロリズマブ併用維持療法への移行を考慮する。

本レジメンについて

  • ●全身状態良好(PS 0-1)、PD-L1 TPS 50%以上に対する一次治療において推奨されているプラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害薬の1つである。
  • ●非扁平上皮癌にのみ有効性が認められている。
  • ●KEYNOTE-189試験1)において、EGFR遺伝子変異陰性・ALK融合遺伝子陰性の切除不能な進行・再発の非扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象に、プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)+ペメトレキセド併用療法→ペメトレキセド維持療法とプラチナ製剤+ペメトレキセド+ペムブロリズマブ併用療法→ペメトレキセド+ペムブロリズマブ併用維持療法が比較された。観察期間中央値10.5ヵ月時点での全生存期間中央値は、ペムブロリズマブ未併用群11.3ヵ月に対してペムブロリズマブ併用療法群は、有意な延長(p<0.00001、層別log-rank検定)が報告されている。また、観察期間中央値23.1ヵ月時点の全生存期間中央値は、それぞれ10.7ヵ月、22.0ヵ月と報告されている(ハザード比0.56、95%信頼区間 0.45-0.70、Cox比例ハザードモデル)2)
※TPS(Tumor Proportion Score):コンパニオン診断薬による免疫染色検査で示された腫瘍組織のPD-L1発現率
1) Gandhi L, et al.: N Engl J Med. 2018; 378(22): 2078-92.
2) Gadgeel S, et al.: J Clin Oncol. 2020; 38(14): 1505-17.

副作用の特徴

  • ●高度催吐性リスクに分類されるため、適切な制吐療法を実施する。
  • ●シスプラチン投与時は、大量輸液(Hydration)によって腎保護を行う。
  • ●シスプラチンの聴力障害は、高音域の難聴が多く、耳鳴も合併しやすい。長期に渡り障害が残存することもあり、注意が必要である。
  • ●ペメトレキセドによる副作用を軽減するために、下記のように葉酸及びビタミンB12を投与する。
    ・ 葉酸:ペメトレキセド初回投与の7日以上前から1日1回0.5mgを連日経口投与する。ペメトレキセド投与中止の際は、ペメトレキセド最終投与日から22日目まで可能な限り経口投与する。
    ・ ビタミンB12:ペメトレキセド初回投与の少なくとも7日前に1回1mgを筋肉内投与する。その後、ペメトレキセド投与期間中及び投与中止後22日目まで9週(3コース)毎に筋肉内投与する。
  • ●免疫関連有害事象(irAE)には、発現率は高いが、致死率の比較的少ないもの(大腸炎、肺炎、甲状腺機能低下)や心筋炎のように発現率は高くないが、致死率の高いプロファイルのものがある1)
1) Wang DY, et al.: JAMA Oncol. 2018; 4(12): 1721-8.
【副作用の出やすい時期と相対的頻度のイメージ図】