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2024.01.25

CHOP療法・R-CHOP療法

監修広島赤十字・原爆病院 薬剤部 坂本 健一 先生

CHOP療法

適応 悪性リンパ腫
投与の詳細 1コース21日間

R-CHOP療法

適応 CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫
投与の詳細 1コース21日間(最大8コース)
  • ※初回投与:最初の30分は50mg/時で開始し、忍容性が良好であれば、その後30分毎に50mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる。
  •  2回目以降:①初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合は、100mg/時で開始し、その後30分毎に100mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる。
    ②臨床的に重篤な心疾患がなく、初回投与時に発現した副作用が軽微であり、かつ投与前の末梢血リンパ球数が5,000/μL未満である場合、90分間で投与(最初の30分で投与量の20%を投与し、その後60分で投与量の80%を投与)することができる。

本レジメンについて

<CHOP療法>

  • ●びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)や濾胞性リンパ腫(FL)など、さまざまな組織型の非ホジキンリンパ腫に用いられる治療法である。
  • ●Bulky Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ期の初発非ホジキンリンパ腫患者を対象にCHOP療法(8コース)、第3世代多剤療法レジメンであるm-BACOD療法、ProMACE-CytaBOM療法およびMACOP-B療法を比較した無作為化比較試験1)において、3年全生存率はCHOP療法群54%、m-BACOD療法群52%、ProMACE-CytaBOM療法群50%、MACOP-B療法群50%と有意差が認められなかったことが報告されている(p=0.90, log-rank test)。
1) Fisher RI, et al.: N Engl J Med. 1993;328(14): 1002-6.

<R-CHOP療法>

  • ●びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する初回治療の標準療法であり、そのほかのB細胞性リンパ腫にも用いられる。
  • ●Ⅱ-Ⅳ期の初発DLBCL患者を対象にR-CHOP療法(8コース)とCHOP療法を比較した無作為化比較試験2)において、主要評価項目である2年無イベント生存率はR-CHOP療法群57%、CHOP療法群38%と有意差が報告されている(p<0.001, log-rank test)。
2) Coiffier B, et al.: N Engl J Med. 2002; 346(4): 235-42.

副作用の特徴

<共通>

  • ●高度催吐性リスクに分類されるため、適切な制吐療法を実施する。ただし、レジメンに5日間投与のプレドニゾロンが含まれるため、制吐目的でのデキサメタゾンは投与しなくてもよい。
  • ●ビンクリスチンの末梢神経障害は用量規制因子である。用量依存性があるため、コース数の増加に伴い発現・増悪に注意する。
  • ●ドキソルビシンの累積投与量が500mg/m2を超えると重篤な心筋障害を起こすことが多くなる。
  • ●プレドニゾロンによる高血糖に注意する。
  • ●B型肝炎ウイルス再活性化の予防のため、治療開始前にB型肝炎ウイルス感染のスクリーニングおよび適切な予防措置を行う。
  • ●腫瘍崩壊症候群の予防のため、治療開始前にリスク評価と適切な予防措置を行う。
  • ●シクロホスファミドによる出血性膀胱炎を予防するために、こまめな水分摂取と排尿を指導する。

<R-CHOP療法>

  • ●リツキシマブのinfusion reaction予防のため、投与開始30分前に抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等の前投与を行う。

<CHOP療法>

【副作用の出やすい時期と相対的頻度のイメージ図】

<R-CHOP療法>

【副作用の出やすい時期と相対的頻度のイメージ図】

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