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2025.07.24

DLd療法

監修地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 薬剤部 𠮷田 早希 先生
適応 多発性骨髄腫
投与の詳細 1コース28日間

【1~2コース目】

【3~6コース目】

【7コース目移行】

※1:投与速度については最新の電子添文を参照

本レジメンについて

  • ●移植非適応の多発性骨髄腫に対して推奨されている治療法である。また、再発・難治性の多発性骨髄腫に対しても選択肢となる治療法である。
  • ●移植非適応の未治療多発性骨髄腫患者を対象に、DLd療法とLd(レナリドミド+デキサメタゾン療法)を比較したMAIA試験1)において、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はDLd療法群未到達、MP療法群31.9カ月であり、有意差が報告されている(ハザード比 0.56、95%信頼区間 0.43-0.73、p<0.001、Cox比例ハザードモデル、log-rank検定)。中間解析における副次評価項目の全生存期間(OS)中央値はいずれも未到達でした(ハザード比 0.68、95%信頼区間 0.53-0.86、p=0.0013、Cox比例ハザードモデル、log-rank検定)2)
1) Facon T, et al.: N Engl J Med. 2019; 380(22): 2104-15.
2) Facon T, et al.: Lancet Oncol. 2021; 22(11): 1582-96.

副作用の特徴

  • ●ダラツムマブのinfusion reactionは遅発性に発現することもあるため、前投与だけでなく、ダラツムマブ投与後のステロイド投与も検討する。
  • ●レナリドミドは催奇形性を有する可能性があるため、医療関係者、患者とその家族が適正管理手順を必ず遵守する。
  • ●血栓塞栓症のリスク評価を行い、必要に応じて抗血小板薬(適応外)の投与を検討する。静脈血栓症のリスク因子としては、長期臥床、脱水、心不全、静脈血栓症の既往など、動脈血栓症のリスク因子としては、糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症などが考えられている。
  • ●アナフィラキシー、血管浮腫等の過敏症、Stevens-Johnson症候群、中毒性表皮壊死症(TEN)があらわれることがあるので、注意が必要である。
  • ●腫瘍崩壊症候群の予防のため、治療開始前にリスク評価と適切な予防措置を行う。
  • ●B型肝炎ウイルス再活性化の予防のため、治療開始前にB型肝炎ウイルス感染のスクリーニングを行い、リスクに応じて核酸アナログ製剤の予防投与やHBV DNA量のモニタリングを行う。(適応外)
  • ●ステロイドによる高血糖が生じる可能性があるため、糖尿病・耐糖能異常を合併している場合は、速効型インスリンなどによる高血糖対策を検討する。また、ステロイドによる他の副作用にも注意する。
  • ●ダラツムマブは間接抗グロブリン(間接クームス)試験結果に干渉し、投与中および最終投与から6カ月後まで不規則抗体の検出に関して偽陽性になる可能性があるため、事前に輸血検査部門に周知する。
*本記事内で記載されている適応外使用の情報に関しては、東和薬品として推奨しているものではございません。
【副作用の出やすい時期と相対的頻度のイメージ図】

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