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2023.3.9

FOLFOX(5-FU+l-LV+L-OHP)±Bev 療法

監修日本医科大学付属病院 薬剤部 百瀬 未来 先生

このレジメンの重要事項・ポイント等

Drからみたポイント

  • ○抗がん剤投与後の悪心・嘔吐/ 末梢神経障害/ 骨髄抑制/ 口内炎のGrade評価による投与量は適正かを確認する。
  • ○ベバシズマブ併用時は、BP上昇による降圧剤の必要性を検討する。また、降圧剤効果不十分な場合は、薬剤の再検討あるいはベバシズマブの休薬も考慮する。
  • ○ベバシズマブ併用時は、タンパク尿を観察し、タンパク尿2+以上は原則休薬を考慮する。

薬剤師からみたポイント

  • ○中等度催吐リスクのレジメンであり、悪心・嘔吐のGrade評価および支持療法は適切か確認する。
  • ○口内炎・下痢などの粘膜障害のGrade評価は適切か確認する。
  • ○手足症候群の皮膚症状の変化を観察し、保湿剤は十分量か、ステロイド剤は必要かを確認する。
  • ○末梢神経障害に関して、痺れの強さ/ 継続時間/ 痛みの有無を確認する。
  • ○投与中のアレルギーに素早く対応するため、事前に薬剤の指示書などを取り決めておくことも大切である。

看護師からみたポイント

  • ○投与中は、アレルギー症状の有無、血管痛の有無を確認する。
  • ○ベバシズマブ併用時は、BP変動・鼻出血を観察する。
  • ○ポート&シュアフューザーを管理する。
  • ○自宅での注意点(末梢神経症状の生活上の注意、感染対策、倦怠感の有無、悪心のコントロール、排便コントロール、注射部位の反応など)を指導する。

副作用の詳細

副作用の発現率

主な副作用有害事象共通用語基準

副作用名 主な症状 薬剤による対策 指導のポイント
末梢神経障害自覚症状でわかる 【急性】
  • ●四肢・口唇周囲のしびれ・刺すような痛み・感覚異常
  • ●寒冷刺激で増悪
  • ●咽頭喉頭の絞扼感
【持続性】
  • ●四肢の感覚異常・機能障害
確立した予防法・治療法はないが、下記の投与が試みられている。
  • ●ビタミンB群
  • ●疼痛に対しては、三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど)、プレカバリン、ミロガバリン、オピオイドなど
  • ●少しでも症状に気づいたら、連絡するように指導。
  • ●早期発見のため問診、ふらつきなどの動作支障の観察、VASなどによる客観的評価を行う。
【急性】
  • ●投与直後から2日以内に生じる一過性の症状で、多くは14日以内に回復。
  • ●寒冷刺激により増悪するため、冷たい飲料、エアコンの風などを、特に投与直後から5日間は避ける。
【持続性】
  • ●オキサリプラチンの用量依存的に発現。
  • ●2週間を超える持続期間、または痛みや機能障害を伴う末梢神経症状がある場合、休薬や減量を考慮するため、知覚異常の変化を十分に観察していくことが重要。
  • ●多くの場合、投与中止後数ヵ月で回復するが、回復が長期に及ぶ場合、機能障害が残存する場合もある。
  • ●患部のマッサージ・保温、手指の運動(症状が悪化する場合は中止)。
  • ●けが・転倒・熱傷などに注意。

発現時期の目安
day 1-

好中球減少検査でわかる
  • ●易感染
    (自覚症状に乏しい)
  • ●好中球数1,000/µL 未満で発熱、または好中球数500/µL 未満になった時点でG-CSFを考慮。
  • ●発熱時:抗菌薬(レボフロキサシンなど)
  • ●自覚症状がないため、感染の予防・早期発見が重要。
  • ●悪寒・発熱時の対処法と医療機関に連絡するタイミングを確認。
  • ●手洗い、含嗽、歯磨きの励行。
  • ●シャワー浴などによる全身の清潔保持。
  • ●外出時はマスクを着用、人混みは避ける。
  • ●こまめに室内を清掃。

発現時期の目安
day7-14

悪心・嘔吐自覚症状でわかる
  • ●吐き気
  • ●嘔吐
  • ●食欲不振
  • ●中等度催吐リスクに準じ、day1は5-HT3受容体拮抗薬(グラニセトロンなど)+デキサメタゾン点滴で対応。day2-day3にデキサメタゾン内服、効果不十分な場合は悪心原因を考えた上で、アプレピタント内服・H2 受容体ブロッカー内服などの追加を検討する。
  • ●強い不安をもつ患者では催吐リスクが高いため十分な説明が必要。
  • ●3〜4日以上の嘔吐の持続、1日以上食事が困難な場合は、医療機関に連絡するよう指導。
  • ●悪心・嘔吐時は食事を工夫(水分量が多く、喉ごしのよいものなど)。
  • ●軽い散歩などの気分転換。
  • ●悪心の原因は抗がん剤だけでなく、その他の麻薬・不眠・便秘などでも起こることがあるため、色々な要因を視野に入れる。

発現時期の目安
day 1- 5

口内炎自覚症状でわかる
  • ●口腔内の疼痛・発赤・出血・腫脹
  • ●飲食困難
  • ●含嗽薬(ポビドンヨード、アズレンスルホン酸、生理食塩液など)
  • ●疼痛時:局所麻酔薬を含む含嗽水、NSAIDs 内服
  • ●治療開始前に歯科検診を実施。
  • ●口腔内を毎日観察。
  • ●適切なブラッシング法・舌ケアを指導。
  • ●口腔内と咽頭の含嗽の励行。
  • ●口腔内の保湿維持(口内保湿ジェルやリンスの使用)。
  • ●口内炎発現時は、食事を工夫(薄味、軟らかい形態、室温程度に冷ますなど)。

発現時期の目安
day4-21

過敏症自覚症状でわかる
  • ●掻痒感、蕁麻疹
  • ●顔面浮腫、顔面紅潮
  • ●しびれ
  • ●脱力感
  • ●口腔内・咽頭不快感
  • ●咳、くしゃみ
  • ●動悸、頻脈、悪心
  • ●前投薬(ステロイド、抗ヒスタミン薬など)
  • ●発現時は投与中止。症状に応じて、抗ヒスタミン薬、ステロイド、β作動薬、アドレナリン投与など適切な処置を行う
  • ●オキサリプラチンによる過敏症は、点滴初回で起きる場合や、6〜8コース目と何サイクルか繰り返した後で起きる場合がある。多くの場合、投与30分以内に起きるが、投与終了後にも起きることもあるため注意深く経過観察。
  • ●ベバシズマブでもinfusion reactionが発現することがあるので注意。
  • ●少しでも何か異常を感じたら、すぐにスタッフに伝えるように指導。
  • ●軽度の場合は症状消失後、点滴速度を遅くしたり、前投薬を行ったりして、再投与を試みることもあるが、経過を注意深く観察。

発現時期の目安
day1

※本サイトに掲載されている薬剤の詳細は各製品の電子添文をご参照ください。