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2025.04.09

Ld療法

監修堺市立総合医療センター 薬剤科 がん化学療法担当 主査 小川 直希 先生
適応 多発性骨髄腫
投与の詳細 1コース28日間

(未治療の場合)

(再発・難治性の場合)
・1~4コース目

・5コース目以降

本レジメンについて

  • ●未治療で移植適応のない、または再発・難治性の多発性骨髄腫に対して選択肢となる治療法である。
  • ●未治療で、65歳以上または65歳未満の造血幹細胞移植適応のない多発性骨髄腫患者を対象に、Ld療法を病勢進行まで継続する群(Ld療法継続群)、Ld療法を18コース継続する群(Ld療法18群)、MPT(メルファラン・プレドニゾン・サリドマイド)療法を12コース継続する群(MPT療法群)を比較したFIRST試験において、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、Ld療法継続群25.5カ月、Ld療法18群20.7カ月、MPT療法群21.2カ月と、Ld療法継続群とLd療法18群(ハザード比 0.70、95%信頼区間 0.60-0.82、p<0.001、Cox比例ハザードモデル、log-rank検定)、Ld療法継続群 とMPT療法群(ハザード比 0.72、95%信頼区間 0.61-0.85、p<0.001、Cox比例ハザードモデル、log-rank検定)とに有意差が報告されている1)。また、副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は、それぞれ59.1カ月、62.3カ月、49.1カ月と、Ld継続群とMPT療法群とに有意差が報告されている(ハザード比 0.78、95%信頼区間 0.67-0.92、p=0.0023、Cox比例ハザードモデル、log-rank検定)2)
  • ●治療歴のある多発性骨髄腫を対象に、Ld療法とデキサメタゾン単剤療法を比較した海外第III相臨床試験3)において、主要評価項目である無増悪期間(TTP)中央値はLd療法群11.1カ月、デキサメタゾン単剤療法群4.7カ月と有意差が報告されている(ハザード比 0.35、95%信頼区間 0.27-0.47、p<0.001、Cox比例ハザードモデル、long-rank検定)。また、副次評価項目であるOS中央値は、それぞれ29.6カ月、20.2カ月と有意差が報告されている(ハザード比 0.44、95%信頼区間 0.30-0.65、p<0.001、Cox比例ハザードモデル、log-rank検定)。
1) Benboubker L, et al.: N Engl J Med. 2014; 371(10): 906-17.
2) Facon T, et al.: Blood. 2018; 131(3): 301-10.
3) Weber DM, et al.: N Engl J Med. 2007; 357(21): 2133-42.

副作用の特徴

  • ●レナリドミドは催奇形性を有する可能性があるため、医療関係者、患者とその家族が適正管理手順を必ず遵守する。
  • ●血栓塞栓症のリスク評価を行い、必要に応じて抗血栓薬又は抗凝固薬の投与を検討する。静脈血栓症のリスク因子としては、長期臥床、脱水、心不全、静脈血栓症の既往など、動脈血栓症のリスク因子としては、糖尿病、高脂血症、高血圧、高尿酸血症などが考えられている。
  • ●アナフィラキシー、血管浮腫等の過敏症、Stevens-Johnson症候群、中毒性表皮壊死症(TEN)があらわれることがあるので、注意が必要である。
  • ●腫瘍崩壊症候群の予防のため、治療開始前にリスク評価と適切な予防措置を行う。
  • ●B型肝炎ウイルス再活性化の予防のため、治療開始前にB型肝炎ウイルス感染のスクリーニングおよび適切な予防措置を行う。
  • ●ステロイドによる高血糖が生じる可能性があるため、糖尿病・耐糖能異常を合併している場合は、速効型インスリンなどによる高血糖対策を検討する。また、ステロイドによる他の副作用にも注意する。
【副作用の出やすい時期と相対的頻度のイメージ図】

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