2020.5.27
DC-000459
DC-000459
患者が伝えられない症状・不安の聞き出し方
例1. 「症状」の説明
患者背景
- 40代女性
- 初発乳がん
- TC(ドセタキセル+シクロホスファミド併用)療法施行中 (4コース目)治癒目的
- 独居
- 就労者(会社員)
しびれは出ていないですか?
特にないです。
末梢神経障害は問題ないかな。
- 歩きやすいサンダルを履いている
- 普通に歩くことはできるが、足裏の感覚が鈍くなっている
問題点
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閉じた質問に対する患者の答えだけで判断をしている。
- 患者からの訴えはないが、本当に症状はないのか。
- あるいは、治療中止となる不安から我慢をしている可能性はないか。
こんなピットフォールに注意
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再発転移で治癒ではなく延命が治療目的となる患者さん
症状と共存していくことになるので、我慢して治療を続けることとQOL維持のバランスを医療者と患者がともに重視し、対応を考えるようにしましょう。 -
高齢の患者さん
運動神経障害による転倒のリスクが高くなりますので、症状に問題がないかより注意深く見極める必要があります。「これくらい大丈夫」と考えてしまう方もいるので、家族に確認をとったり、患者さんをよく見ることを意識しましょう。 -
別のがん種で男性会社員の患者さん
出勤時は我慢して革靴を履いているかもしれません。悪化につながる要因となりますので、ビジネスサンダルやスニーカーを提案できるようにしましょう。
一覧
解説-
患者さん自身が気づいていない症状を評価するためにも、本人の訴えだけで判断をするべきではありません。患者さんをよく見ること、あるいは周りの人にお話を伺うことも大切でしょう。
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感覚神経障害(しびれ、じんじんする)に目がいきがちですが、運動神経障害(力が入らない、歩きにくい)にも注意をするべきです。治療室に入ってくる際の患者さんの歩行状況に変化がないかなど看護師に確認しましょう。
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単純に「しびれ」という表現では言葉の定義にずれが生じる可能性もあります。開いた質問を使いながら、患者さんのライフスタイルも考慮して総合的に評価をしましょう。
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「命が助かるのであれば」と、症状が出現、増強しても我慢してしまう患者さんも多くいます。しかし、進行した末梢神経障害は回復まで長い時間がかかります。場合によっては年単位で日常生活に支障をきたす可能性があることや、休薬や減量の選択があることもお伝えし、困ったときに相談に乗れるようにしましょう。