2020.5.27
DC-000459
DC-000459
患者が伝えられない症状・不安の聞き出し方
例3. 「程度」の確認
患者背景
- 50代女性
- 初発卵巣がん
- TC(パクリタキセル+カルボプラチン併用)療法施行中(3コース目) 治癒目的
- 家族と同居
- 非就労者(専業主婦)
どの程度のしびれが出ていますか?
うーん、まぁ、眠れないほどではないです。
では、0(症状なし)~ 10(強い症状)で言うと3くらい?
まぁ、そうですね…。それくらいだと思います。
そのくらいの症状であれば、
まだ対症療法や休薬・減量が必要なほどではないかな。
問題点
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症状の評価が不十分である。
- NRSを使用しているが、数値を誘導してしまっている。
- 患者がどの程度困っているのか、具体的な聞き取りが不十分である。
こんなピットフォールに注意
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就労している患者さん
「業務作業にどの程度支障が出ているか」を評価指標にしてもよいでしょう。また、もし業務に支障が出ているとしても、対策は必ずしも休薬や減量だけではありません。配置転換や環境整備など、職場の協力で解決することもあります。患者さんの生活は病院内で完結するものではありませんので、悩みに応じて院内や地域の相談支援センターなど適切な場所を紹介できるようにしましょう。
一覧
解説-
症状を我慢してしまう患者さんもいますので、過小評価しないよう心掛けましょう。
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NRSやVASによる痛み評価を行うことは勧められますが、患者の数値の好みに左右されたり、心理的な影響を受けやすいものでもあります。判断の目安を患者の日常生活に例えてお伝えしましょう。なお、数値は絶対的な指標と考えず相対的に変化を追うことも大切です。また、患者用末梢神経障害質問票(PNQ)などを使用してもいいでしょう。
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しびれの辛さは患者さんによって異なります。手を使う趣味が出来なくなってQOLが下がっている方もいるかもしれません。一律な評価ではなく、価値観も考慮した対応ができるようにしましょう。